生協設立趣意書

■ 都留文科大学生活協同組合設立趣意書

 貧弱な小都市に位置する都留文科大学は、全学生のほとんどが自宅外通学者でありながら寮すらなくそのために下宿生活を余儀なくされています。しかしながら、あいもかわらぬ諸物価公共料金の値上げとともに年々下宿代は上がる一方です。都留文科大学は「大学」でありながら学問研究機関どころか福利厚生施設も皆無という状況にあります。そして当然のことのように現状改革の要求として、4年前から生活協同組合設立運動が展開されてきました。
 学生のみならず教職員をも含む多くの人々の生活と権利を守り、一切の抑圧状況に対し反対すると同時に、教育環境の整備や福利厚生施設の獲得、それに映画会・講演会等の文化活動など、大衆的規模の活動を行うものとして生活協同組合があると考えます。
 組合員が経営者であり利用者でもある自主的民主的な生活協同組合は、大学生活に必要な広範な物資の供給業務をはじめ、その他の大衆的活動を通して被抑圧者の生活と権利を獲得し守り抜くものとしてあります。
 生活協同組合設立運動は長期的な運動ののち昨年全学的組織の生活協同組合設立委員会の熱意と努力によって今後の活動の可能性がもたらされました。すべての学生、教職員の皆さん。私たち発起人会一同は今ここに4年余の長く苦しい努力の成果として、声たからかに都留文科大学生活協同組合の設立を呼びかけます。
 すべての学生、教職員の皆さんの本趣旨への深いご理解と心からの賛同を訴えます。

1969年4月20日
都留文科大学生活協同組合発起人会

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■ 協同組合の起こり

 18世紀後半、イギリスでは産業革命の結果、それまでの手工業的な工業技術の変革によって機械制大工業、工場生産が開始され、資本主義社会が確立されていきました。それと同時に封建的身分制度は解体し、一切の生産手段を私的所有のもとに独占している資本家階級と生産手段から切断された賃金労働者階級という新たな社会的対立が出現しました。
 資本家階級による労働者階級への過酷な搾取と収奪という資本主義社会、とりわけ、その確立期において、チャーチスト運動や空想社会主義の影響を受 けた労働者(or失業者)たちが自分たちの生活を守るための共同体として協同組合を設立しました。
 とくに、イギリスのマンチェスター近郊のロッチデールで、フランネル工場の職工28人が「ロッチデール公正開拓者組合」を創設(1848年)しましたが、その時定められた運営規則は「ロッチデール原則」として、その後の協同組合の発展原則(基礎)となっています。ここから、協同組合の出発は「ロッチデールである」といわれています。